病院の特色

転倒予防の取り組み

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場所:県道32号線蚊無トンネルの西条町側

日本は世界一の長寿国であり,超高齢化社会となりましたが,同時に高齢者の介護予防が大きな社会問題となっています。厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書」によると、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳ですが、同年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳となっています。つまり寝たきりになったり、介護を受けたりしながら日常生活を送る期間が男性で8.84年、女性で12.35年あるということです。2001年には男性8.67年、女性12.28年となっており、この差はわずかながら拡大しています。

つまり,人生の最後の約10年は誰かに介護される状態となっています。そして,要介護者の20.3%は,転倒による骨折や関節症が原因となっています。

このような状態を改善し,「健康で長生き」できるように,県立安芸津病院では,転倒予防に力を注ぎ,様々な取り組みを行っています。

いつまでの自分の足で動くことができることは、何事にも代えがたいことだと思います。

そのために私たちの「転倒なしサンバ」がお役に立てることができればと考えています。
いつでもご要望あれば可能な限りはせ参じたいと思っております。
ぜひご連絡いただけるとありがたいと思います。

転倒予防靴下についての研究活動

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当院のインシデントレポートにおいて,転倒事故は20 %~25%の割合で発生しています。中には皮膚損傷や骨折など転倒による身体への障害も発生しています。また,転倒事故は自宅や外出先でも起こり,要介護の原因にもなっています。そこで,平成23年より日常生活における転倒予防対策のために,地元企業・大学・当院の多職種連携により調査を行い,転倒予防に取り組んでいます。

調査方法は,転倒予防靴下の着用前・着用3日及び7日後の歩行状態の把握・分析と,着用についての意見や感想の聴取などです。
転倒予防靴下は,靴下の編み方を工夫することにより,足趾(足の指)が上がる構造になっています。また,靴下を脱いでもしばらくは足趾が上がり,効果が持続することや,歩行時にバランスを整えるために必要な,床を踏ん張る力の向上も期待できると考えられています。

調査項目は,平成23年度は,10メートル歩行による所要時間,歩数,平均歩幅,バランス機能(ファンクショナルリーチテスト)を行いました。24年度は,歩行時の足趾の背屈角度と立位姿勢の調査を新しく加え,25年度においては,バランス機能評価するため,バランス及びステッピングの計測を加えて3年間継続して調査を行っています。
現在までの調査の結果,上記の項目で着用時の優位が確認でき,転倒予防対策に有効であると考えられます。
詳細はこちらをご覧ください。

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また,転倒は歩行時のみでなくべットから立ち上がり,次の行動に移動する際にも多く,べット周りのリスクが高いことから,平成25年度からは,臥位や就寝時も継続して着用でき,べット周りでの転倒予防に活用できる靴下の調査も行っています。

このほか,公開講座の開催や,地域のイベント,地域のサロンなどに出向き,地域住民の方に,転倒予防の普及啓発活動を行い,予防医療について地域の関係施設・団体等の皆さんと一緒に取り組んでいます。

安芸津病院オリジナルの転倒予防体操
『転倒なしのサンバ』を考案しました!

私たち県立安芸津病院の職員は,「転倒予防の発信地,あきつ町」という看板を見て,転倒予防の町にある病院として何か協力はできないかと,日頃考えていました。ある日,病院の委員会で,病院として何かできないかという提案があり,転倒予防のための健康体操を考案することになりました。

まず,歌を決めるに当たり,あまり激しいリズムではなく,テンポのいい曲は,と考えた結果,サンバ的なリズムで!ということで「てんとうむしのサンバ」を思いつきました。

tentou05 次に体操です。簡単で,表層の筋肉や関節・筋だけでなく,普段鍛えにくいインナーマッスルにもある程度効果のあるような体操をと考えました。そこで,スローな動作の中にしっかりと筋肉や関節などを鍛えるポーズが入っている,太極拳の動作を取り入れました。

しかし,動作を決めてもなかなか覚えにくく,どうしようかと考えたところ,動作がわかるような歌詞にすれば踊りやすいのではないかと考え,また歌詞も安芸津町ならではの歌詞をと思い,安芸津町名産の「ジャガイモ」と「びわ」を入れ,物語仕込みの歌詞を考えました。

こうして出来上がった体操の効果や安全性を,専門的見地から確認するため,転倒防止について研究を行い,転倒防止の健康作りに力を入れて取り組んでいる「身体教育医学研究所うんなん」(島根県雲南市)の北湯口純先生に評価,御指導いただき,安芸津病院から発信する転倒予防体操が完成しました。

ネーミングは,はじめは「てんとうむしのサンバ」そのままだったのですが,メンバーから「てんとう」は「転倒」にかけてみてはという意見や,「転倒むし」を「転倒なし」にしてはと意見があり,
<命名> 『転倒なしのサンバ』 になりました!

<歌詞>
1 番
安芸津生まれのジャガイモは 土の中で考えた 大きくなるにはどうするか
そばのミミズに聞いたなら 体操するのが一番と そっと教えてくれました
手と足動かし体操すれば 大きなジャガになれるよと ジャガイモみんなで体操するよ
安芸津生まれのジャガイモは 今日も楽しく体操を 元気いっぱいしているよ
                  
2 番
安芸津生まれのびわ達は 枝の上で考えた 大きくなるにはどうするか
そばの鳥に聞いたなら 体操するのが一番と そっと教えてくれました
手と足動かし体操すれば 大きなびわになれるよと びわ達みんなで体操するよ
安芸津生まれのびわ達は 今日も楽しく体操を 元気いっぱいしているよ

繰返し
手と足動かし体操すれば 大きなジャガになれるよと ジャガイモみんなで体操するよ
安芸津生まれのジャガイモは 今日も楽しく体操を 元気いっぱいしているよ

<体操>
振付はこちらをご覧ください。

平成25年は安芸津フェスティバルや医療公開講座で披露し,地域の皆様にも一緒に体操をしていただきました。今後も様々な場所で披露し,地域の皆様の健康づくり,転倒予防の町づくりに貢献していきたいと考えております。機会がありましたらぜひ一緒に体操をしてみてください。

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世界一の長寿国であり,超高齢化社会となりましたが,同時に高齢者の介護予防が大きな社会問題となっています。厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書」によると、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳ですが、同年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳となっています。つまり寝たきりになったり、介護を受けたりしながら日常生活を送る期間が男性で8.84年、女性で12.35年あるということです。2001年には男性8.67年、女性12.28年となっており、この差はわずかながら拡大しています。
つまり,人生の最後の約10年は誰かに介護される状態となっています。今後そして,要介護者の20.3%は,転倒による骨折や関節症が原因となっています。